4月21日 月曜日

 俺は、ルカの母親がいる寺にいた。ルカの母親にだけは、俺が明日旅たつことを告げておきたかったからだ。母親は、少し避難のこもった目を俺に向けた。それはそうだ。明日は裁判の結審の日。その法廷に出ず、旅立とうと言うのだから。しかし俺はその瞳を見詰め返し言った。
 「申し訳ありません。でも、もう決めたことです。この手紙を明日、美里たちに渡してください。それから、これは、貴女へお渡ししておきます」俺は、ルカが持っていた十字架を差し出した。
 「ルカの形見の十字架です」
 「よろしいのですか?」
 「ええ、これは貴女が持っていた方が、ルカも喜ぶと思います」
 「そうですか」
そう言うと、母親は十字架を胸に押し抱きじっと祈っていた。やがて
 「分かりました。明日、私からも美里たちには貴女の思いを語ります。お気をつけて」
と頭を下げた。
 俺も静かに頭を下げると、その場を立ち去った。
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by karura1204 | 2004-12-01 00:00 | エピローグ
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