1月2日 木曜日

 翌日、俺たちは、新年のパーティーの為、美里を乗せ尊の店へ向かった。リアシートでは、美里が妹の幸せを願う姉の顔でルカを見ていた。馬鹿話をしていたはずが、いつの間にかルカの妊娠の話になって、俺は美里に叱られてしまった。
 「そうだ、ルカ、やっと純平に言ったんだって」
 「ええ」
 「純平、あんた少しは、考えて家に帰りなさいよ」
 「解っているよ」
 「いいえ、純平は、何かに夢中になると、周りが見えなくなるから、小まめに電話入れるとかしなさいよ」
 「はいはい」
 「美里姉、そんな小姑みたいに言わなくても・・・・」
 「あら、私は、ルカのために言っているの。何て言っても、私は純平の義姉でもあるんですからね」
 「だからって・・・・」
 「良いよ、ルカ。美里、気をつけるから。ちゃんと連絡するよ」
 「解れば良いのよ」
 「ほら、もう着いたよ、降りろ」
 「先に挨拶しているわね」
 「頼むよ」

 「新年、明けましておめでとう!」美里が、上機嫌でドアを開け、続いてルカが入る。俺はその後からゆっくりと入って入った。
 「おめでとう。純平さん、ルカさん、ちょっと来て」
 俺たちは、そう美紀ちゃんに言われ奥の部屋に行く。すると、壁に掛けてあったウエディングドレスとタキシードを見せられ、「さあ、ふたりとも着替えて」と言われたのである。何の事か解らないでいると、尊と美里がやってきて
 「良かったわね、ルカ。披露宴ここでやるんでしょう。美紀ちゃんが、着せてくれるって」
 「美紀が、どうしてもルカさんに着せたいって言うんだ。着てやってくれないか」
俺たちは、顔を見合わせた。
 「気持ちは嬉しいけど・・・・」
 「何言っているの純平さん、女性にとって、ウエディングドレスは夢なのよ、着せてあげて。私と尊のお古だから、デザインとかは気に入らないかも知れないけど、記念だからさ、着てちょうだいよ。ルカさんだって、やっぱり着たいでしょう」
 「それは・・・・・」
 「純平、ふたりで着なさいよ。美紀ちゃんの想いも解るでしょう」
 「純平、着てやれよ」
 「純、そうしましょう。ね、駄目?」
 「いや、駄目なわけないよ。ありがとう、美紀ちゃん」
 俺たちは、美紀ちゃんの想いを受け、着る事にした。ウエディングドレスに着替えたルカは、まばゆいばかりに輝いていた。俺は照れながらも
 「ルカ、綺麗だよ・・・」
と言った。
 「ありがとう。純も素敵よ」
 「ルカ、良かったわね。私嬉しいわ」
美里が涙ぐんでいた。
 「さあ、行きましょう」
と、美紀ちゃんは子供にベールを持たせ、店に向かった。俺は、また照れながらルカをエスコートした。
俺たちが店内に行くと、いつの間に来ていたのだろう、仲間たちが待っていた。そして、信のペットが響き渡り結婚協奏曲が流れた。紙吹雪が舞い、みんなの祝福を受ける。ルカは驚きと感激で涙を浮かべた。俺も驚いた。
 「純平、ほれ、俺が作ったケーキだ。ふたりでカットしろよ」
尊に、ナイフを渡され、俺たちはケーキを切る。一斉にクラッカーが鳴り、
 「純平、ルカさんおめでとう!」
と書かれたくす球が開く。すると、真二がおもむろに立ちあがり、
 「それでは、誓いのキスをどうぞ!」
 そう言ったものだから、やんやの野次が飛び交った。俺たちは、照れまくってキスをした。拍手と祝福の嵐の中、俺は、こいつらと仲間で良かったと思った。こんな風に祝ってくれる仲間がいる事が、俺の宝だ。
 そうして、宴会は日暮れまで続いた。仲間は、冷やかしながらも、俺たちを応援してくれていた。俺は、ひとりひとりに握手をし、尊が作ったケーキを手渡しして別れた。感謝などと言う言葉では表せない熱い想いを俺とルカは感じていた。

 みんなを見送ると、尊が俺を呼んだ。ルカは美紀ちゃんに呼ばれ美里と奥へ行った。
 「純平、今日は泊まって行け。ルカさんに運転させるなよ」
 「ああ、解っている。今日はそのつもりで来たよ。美里もそのつもりだ」
 「そうか、美紀に言っておかなきゃな。美里の事は頭数に入っていなかっただろう」
 「悪いな」
 「お前が謝る必要はない。いくら義理の姉になるとしても、美里は美里だ」
 「まあな」
 「お~い、美紀」
 「何?」
 「美里も泊まるぞ。用意してやって欲しい」
 「解っているわよ」
 「なんだ、そうか」
俺は笑った。
 「美紀ちゃんの方が、上手だな」
 「まあな。お前の所もいずれそうなる」
 「いや、もうなっているよ」
 「そうか。まあ、良かったな。純平、まだまだ安心できないかも知れないが、頑張れや。俺で出来る事があれば何でもするからな」
 「ありがとう」
 その夜、尊とふたり、酒を酌み交わしながら学生時代に戻って、飲み明かした。俺は、この幸せの中に酔っていた。
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by karura1204 | 2004-12-01 01:24 | 第六章 冬の花火
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