「ほっ」と。キャンペーン

12月27日 金曜日

 午前中は、社内の大掃除をして、午後は盛大な納会になった。今年は、久しぶりに社内の大ホールに集まった。先ず、社長の挨拶に始まり、乾杯、納会にしては珍しく、組合委員長の挨拶、そして、ビンゴゲーム等が行われ、社内のムードは最高潮だった。みんな、美酒に酔い、ゲームに興じ、一年の締めくくりは何事もなく終わった。
 俺は、ビンゴゲームでワインとワイングラスが当たり、それをみあげに家に帰った。

 「ただいま」
 「おかえりなさい」
 「はい、おみあげ。納会のビンゴゲームで当たった」
 「良かったわね」
 「ワインとワイングラスのセットだ」
 「そう、じゃあ、ワインはお正月に尊さんの所へ持って行きましょうよ」
 「そうだな、そうしよう」
 「疲れたでしょう。お風呂入れば。沸いているわよ」
 「ありがとう。そうするよ」
 「着替え、もって行くわ」
 「ああ」
 俺は、久しぶりにゆっくりと風呂に入った。とにかく気分が良かった。次期システムもほぼ確約を取り付け、ルカとの生活も順調に行き、満足していた。これ以上の幸せはないと確信していた。
風呂から上がると、ルカは、改まった顔で俺を待っていた。
 「純、おかえりなさい」
 「さっき言ったろう?」
 「ええ、でも・・・これからもよろしくお願いします」
 「どうしたの?改まっちゃって・・・」
 「だって、婚姻届を出してから、初めてふたりきりなんだよ」
 ルカに見詰められて俺は、ドキドキした。確かにそうだ。もう、今までの恋人気分ではないのだ。俺は照れくさかったが、
 「ルカ、俺の方こそよろしく頼むな。忙しくて放ってばっかりかも知れないけれど・・」
そう言うと、ルカを抱き寄せた。
 「淋しかったろ。ごめんな」
 「大丈夫。それより、見て。お餅飾って、注連(しめ)飾り作ったの。玄関気付かなかった?」
 「ああ、ごめん。駄目だな、俺」
 「駄目じゃないわ。そう、御節もね、今から作るの。純も手伝ってね」
 「勿論だよ。で、何を作ったの?」
 「まだ何も作ってはいないわ。買い物するリストを作っているところよ」
 「そうか。じゃあ、一緒に買出しに行こう。リスト見せて」
 「ええ」
 俺たちは、買出しのリストを作りながら、正月の準備に取り掛かった。そして、その夜俺は、久しぶりに夕食を作ってルカに出した。ルカの喜ぶ顔がみたくて・・・・
 「明日は、煮豆と煮しめを作ろう。手間が掛かるからね。数の子やいくらはアメ横まで買いに行こうか?どうする?」
 「ええ、行って見たいわ」
 「じゃあ、明後日行こう」
 「楽しみだわ、アメ横。思う存分値切るわ。私」
 「おいおい、程ほどにね。と言っても、君の事だから、まあ、好きにしなよ」
 「ええ」
 「よし、珈琲淹れるか」
 「待っていたわ」
 「とびっきり美味いの淹れるからな。待っていろよ」
 「ええ」
俺は、丁寧に淹れた。ルカの視線を感じながら・・・・
 「はい、出来たよ」
暫く、ルカはカップを見詰め、両手で抱えながら口に運んだ。
 「ああ、美味しい」
 「良かった」
 俺は、ルカを見詰めながら、珈琲を飲んだ。ルカは、俺の視線を感じて瞳を上げる。微笑み絡み合う瞳、
 「おいで」
 俺たちは、魔物がすぐそこまで迫っている事も知らずに、永遠の愛が約束されていると信じ愛し合った。
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by karura1204 | 2004-12-01 01:27 | 第五章 時の狭間
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