9月6日 金曜日

 9月に入り、仕事で帰れない日が続いていた時、家の電話が珍しく鳴っていた。
 「はい、佐藤です」
 「元気、ルカ」
 「美里姉」
 「純平の所は、い心地良さそうだね」
 「ええ、とても」
 「そう・・・・。でも、何時までもいられる訳じゃないよ。解っているでしょう」
 「勿論それは解っているわよ。美里姉に言われなくても。でも、美里姉、指輪作ったの、美里姉でしょう。 何で断らなかったの」
 「それは、純平の顔を見ればねぇ。それに、あんただって、尊達の前で、純平に色々言って、あいつをのぼせ上がらせちゃっているでしょう」
 「だって・・・・・」
私は言葉に詰まった・・・・。
 「まあ、良いよ。それでね、言いたくないけれど、ルカが純平の所にいる事、ばれたからね。加納が近いうち行くと思うから覚悟はしておきなよ」
恐れていた日が来た。私の心は乱れはじめた。

 「加納、ひとりで来るかな?」
 「さあ・・・お母様も一緒だとは思うけれどね」
 「いい加減、私を放って置いてくれれば良いのに」
 「それは無理だね。お父様はあんたを探し続けるよ。それに、お母様は、あんたを不憫だと思うから、手元に置いておきたと思っているのだから」
 「それが困るのに」
 「まあ、仕方ないよ」
 「そうだ、この間は、ありがとうね。純が倒れた時、美里姉しか頼れなくて。御礼も言えずにいたわ」
私は、話を変えたくて、明るく言ったけれど、
 「礼なんて良いのよ。純平は、めちゃくちゃ良い奴だから、私としては、あいつなんか早く忘れて欲しいのよ。本当は純平と幸せになってもらいたいのよ」
 「ありがとう。私もそうだったらどんなに良いか・・・・でも、無理よ。お父様は、私に勝手な縁談を持って来ているのだし、家に帰れば、嫌でも杏子お姉さまと仁の姿を見るわ」
 「お父様の悪趣味にも困ったものね」
 「美里姉は良いわ。ひとりで勝手に何をやってもお父様は何も言わない。放任主義そのものですもの」
 「そうなんだよね。私とあんたが、逆の立場だったら良かったのにね」
 「美里姉・・・・・」
 「ごめん。言っても始まらないことだけどね」
 「そうね。仕方ないわ」
 「じゃあ、気をつけてね。私には、それくらいしか言えないけれど、何かあったら、何時でも電話しておいでよ」
 「解った。ありがとう、美里姉」

『見つかった。加納とお母様が来る。純、私どうしたら良い・・・・・・』
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by karura1204 | 2004-12-01 01:42 | 第四章 パンドラ
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